陶 歴
画号 花仙
作風 極細密画
重厚で深みある釉彩、 優美で華麗な本金仕上、
緻密多彩な庄三風等、すばらしい九谷焼の色絵に
魅せられ、父利男より家業の九谷焼絵付を学ぶ。
九谷焼の真髄は的確な筆致で金の細書、金吹、
技法で画風を描く事にあると信じ日夜より向上を
目指して精進しております。
二代花仙 作田 憲日出
『本金盛割取小紋』
黄金のまばゆさ、加賀百万石の雅
◆まるで金細工の器を思わせるような豪奢で奥深い輝きの
本作品は、「盛金技法」という特殊な技法で作られた九谷焼
の逸品『本金盛割取小紋重』と称され
①隙間なく絵付が施された綿密な曲面の魅力
②独特の丸みが生出す風格ある存在感
③うねるように壮麗な文様の美しさ
以上の三特長に誰もが圧倒されます。
また、ここには蒔絵や大和絵、安土・桃山時代の金屏風琳派
に見られる日本の雅びやかな美学が、密度高くちりばめられ
ています。そして、かつての加賀百万石の誇り高くも絢爛たる
美意識が、高らかに築きあげられています。
◆本作品を装飾する音楽的なまでに優雅な文様の「割取小紋」
は、吉祥柄である十六菊花文、亀甲文、梅花文を交互に配し、
壷の形状に合わせて、流麗な美しいねじりを加えてゆく図柄です。
清水美山・ 盛金技法の継承
◆本作品最大の特徴である「盛金技法」とは、高度な技巧を
要する九谷焼の中でも、もっとも困難といわれる技法です。
明治・大正期に九谷焼が輸出され、「ジャパン九谷」として
世界的なブームを呼んだ時代、当時の九谷を代表する名匠
清水美山によって創出されました。
◆作者の作田花仙氏は、この清水美山の生み出した難技法を、
現代に継承する数少ない名工です。金沢美術大学で日本画を
学んだ後、父初代花仙に師事する傍ら九谷焼の伝統技法を、
独自に追求、先人の優れた作品と出会い、「盛金技法」という
伝統技法を現代に再現しました。
◆盛金技法は、ろくろ形成された生地の上に絵具を塗り重ね、
焼き重ねながら、ひとつひとつの模様を型取り、さらにその上に
本金を塗り重ねるまで、すべてが手作業です。高い技術はもち
ろん、あまりに手間暇がかかるため、現代では、作り手の少ない
稀少品です。